二世帯住宅を建てる前に知っておきたいこと
- お役立ちコラム
ご家族のお住まいが離れていると、介護や共働きでのお子様のお世話でサポートが難しいという話がよくされます。
この問題を解決する二世帯住宅、つまり一つの家で二つの世帯が暮らす住宅を建てる理由として、少子高齢化による核家族化、住宅費の高騰、親の介護需要の増加などが挙げられます。
建設費や生活費などの費用を抑えたり、子育てや介護の面で助け合えるメリットがあります。
反面、水まわりの共有やプライバシーやコミュニケーションにおいてトラブルが起きてしまうことも。
こちらの記事では、二世帯住宅の間取りや選び方のポイントなどを紹介していきます。
目次
二世帯住宅のメリット・デメリット
メリット
ご家族の介護がしやすい
一緒に住んでいるので、何かあればすぐに駆けつけることができます。
介護だけでなく、体調不良時やサポートが必要になった時でも安心です。
子育てがしやすい
親世帯が近くにいると、子育てに協力してもらったり、子育てについて相談したりすることができます。
お子様の保育園や幼稚園、学校の送り迎えをしてもらえるだけでも、共働きの親御さんには強力な助っ人でしょう。
生活費が安くなる
土地や建物、光熱費などの費用を二世帯で分担することができます。
そのため、通常の住宅よりも生活費を安く抑えられる傾向があります。
家族の絆が深まる
一緒に食事をしたり、生活することで、お互いに顔を合わせる機会が増え家族の絆が深まります。
コロナ禍で離れ離れになった時間が長かった分、コミュニケーションを重視されたい方も多いようです。
デメリット
プライバシーが確保できない
親世帯と子世帯が一緒に住んでいるので、お互いの生活音や生活習慣が気になることが出てくることも。
個室の数に限りがある場合は、それぞれのプライバシーが保たれた空間が出来るように、間取りを工夫しましょう。
リビングを可動式の間仕切りで必要なタイミングに、個室の様にするなども可能です。
生活習慣の違いによるトラブル
親世帯と子世帯で、生活リズムが異なると衣食住でトラブルが発生することもあります。
具体的には、親世帯は早起きで子世帯は夜更かし、親世帯は静かで子世帯は賑やか、などです。
このような生活する時間帯の違いによるトラブルを防ぐためには、お互いの生活状況を理解し、お互いに歩み寄ることが大切です。
建設時に音が出やすい水まわりの配置をまとめたり、1階の寝室の上階は、騒音がしない収納スペースを配置するなども良いでしょう。
建設費用がかかる
二世帯住宅は通常の住宅よりも費用がかかります。
二世帯分の土地と設備が必要になるため、水まわり設備をそれぞれ設置すると単純に2倍になります。
キッチンが必要だとしても、子世帯のキッチンをメインで使用する場合は、親世帯のキッチンはコンパクトなサイズ・グレードで十分かもしれません。
共同で使用するもの、各世帯分用意するものは何が良いか検討しましょう。
二世帯住宅の3つの間取り
二世帯住宅の間取りには、完全分離型、部分共有型、完全共有型があります。
それぞれの間取りの詳しい特徴やメリット・デメリットについて見て行きましょう。
【完全分離型】二世帯住宅
完全分離型二世帯住宅は、親世帯と子世帯が同じ家にいながら別々に暮らせるように建設された住宅のことです。
親世帯と子世帯がそれぞれ独立して暮らしますので、お互いの生活リズムを気にせずに生活できます。
それぞれが別々の家で暮らしている状態と大きく変わりませんが、隣の家に暮らしている様な距離感なので、用事がある時などは連携が取りやすいです。
完全分離型のメリット
- ●双方の世帯のプライバシーが確保できる
- ●生活習慣の違いによるトラブルが起こりにくい
- ●お互いの生活に干渉せずに済む
完全分離型のデメリット
- ●コストがかかる
- ●親から子、子から親世帯への訪問で、玄関出入りの手間がかかる
完全分離型二世帯住宅は、世帯ごとの生活習慣を確保したり、プライバシーを重視する方におすすめです。
共有スペースが少ない分、必要な設備が多くなり、建設費用が多くかかるなどのデメリットもあります。
【部分共有型】二世帯住宅
【部分共有型二世帯住宅】は、親世帯と子世帯が家の設備や居室の一部を共有しながら暮らす住宅のことです。
ライフスタイルやご希望に合わせて、どこまで共有にするかを調整することができます。
たとえば、キッチンやリビングを共有することで家族で一緒に食事を取ったり、トイレや浴室といった水まわり設備を共有することで、建設費を抑える方法もあります。
1階を親世帯、2階が子世帯用の間取りになっている住宅が多いです。
どの場所を共有するかによって、建設・リフォーム費用や世帯のプライバシー保護具合が変わってきます。
部分共有型のメリット
- ●個人の空間、世帯ごとのプライバシーがある程度守られる
- ●コミュニケーションが取りやすい
- ●子育ての面で助け合いやすい
- ●介護や生活のサポートがしやすい
部分共有型のデメリット
- ●完全共有型に比べると費用がかかる
- ●生活習慣の違いによるトラブルが起こる可能性はある
部分共有型二世帯住宅は、コミュニケーションは取りやすくなる反面、共有スペースが必要になるので、プライバシーを完全に確保することが難しくなります。
建設費用は完全分離型に比べると抑えられます。
水まわりや特定の空間は区切りつつ、費用を抑えて団らんの場を持ちたい方、プライバシーとコミュニケーションのバランスを重視する方におすすめです。
【完全共有型】二世帯住宅
【完全共有型二世帯住宅】は家の中のほとんど全ての場所を共有して暮らす住宅です。
設備や居室の数が最低限で済むので、費用面で上記の二つよりも優位性があります。
寝室以外の全ての部屋・設備を共有するので、同居しているのと変わりありません。
親世帯と子世帯が共用するスペースが非常に多い=建設費が少ないともいえます。
完全共有型のメリット
- ●コストを抑えられる
- ●コミュニケーションが取りやすい
- ●子育てを手伝いやすい
- ●介護やサポートがしやすい
完全共有型のデメリット
- ●プライバシーが確保できない可能性がある
- ●生活習慣の違いによるトラブルが発生する可能性がある
- ●設備を共有することでのストレスがある
完全共有型二世帯住宅は、費用面を重視する方におすすめです。
ほとんどが共有スペースのため、世帯ごとのプライバシーを確保することは難しい、生活習慣の違いが影響を与えやすいといったデメリットがあります。
設備グレードが一般的なものであれば、二世帯住宅の中でも建設費用が最も抑えられます。
で二世帯住宅へリフォーム・リノベーションする際の、間取り選びのポイント
二世帯住宅の間取り選びをする上で、
ライフスタイル、プライバシー、コミュニケーションをどう扱うかも重要です。
親世帯は夜早く就寝するけれど、子世帯は仕事の帰りが遅く、就寝時間が遅いような場合、生活音が就寝中の親世帯の迷惑にならないよう、玄関から各部屋への導線を工夫する必要があります。
せっかく二世帯住宅にリフォームしても、お互いがストレスを感じながら生活するのでは元も子もありません。
後悔しない二世帯住宅を建てるためには、まず親世帯と子世帯のライフスタイルを把握することが重要です。
その上で、プライバシーやコミュニケーションを保ちながら、一緒に生活できるように調整しましょう。
また、予算が少ないと完全分離型を希望しても施工が難しい場合があります。
その場合は部分共有型で、可能な限り共有スペースを減らす必要があるでしょう。
二世帯住宅の間取りは、親世帯と子世帯のライフスタイルや価値観によって異なります。ご家族でよく話し合い、検討いただき、最適な間取りにしましょう。
費用相場
二世帯住宅の費用相場は、新築とリフォームで異なります。 新築とリフォームそれぞれの費用相場をご紹介します。
で新築する際の費用目安
構造や間取り、土地の価格などによって異なりますので、参考例となります。
建築様式 | 費用 |
木造 | 1,000万円~3,000万円 |
鉄骨造 | 1,500万円~4,000万円 |
鉄筋コンクリート造 | 3,000万円~5,000万円 |
でリフォームする際の費用目安
構造や築年数、リフォームの内容によって異なりますので、参考例となります。
施工内容 | 費用 |
間取り変更 | 100万円~500万円 |
水まわりリフォーム | 50万円~200万円 |
内装リフォーム | 50万円~300万円 |
外装リフォーム | 100万円~500万円 |
税金の優遇措置
二世帯住宅には、一般的な戸建て住宅にはない税金の優遇措置がいくつかあります。
- ●固定資産税の減額
- ●都市計画税の減額
- ●相続税の軽減措置
- ●贈与税の軽減措置
構造上・設備の独立性が条件になっていることが多く、各自治体によって条件が異なります。
二世帯住宅を建てる前に、自治体の税務課に確認されると良いでしょう。
こちらの記事では、二世帯住宅の間取りや費用についてご紹介しました。
ご紹介した3つのパターン、それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご家族のライフスタイルや価値観、ご予算などをしっかり踏まえた上で、最適な二世帯住宅の選択肢を選びましょう。